飴は長谷川深を見ると、まったく相手にせず、ぷりぷりとしたお尻を振りながら、小さな足で長谷川深の方へ走っていった。
長谷川深は思わず吹き出し、目の前の愛らしい光景に、目元も眉も喜びに満ちていた。わざと「飴ちゃん」と呼んだ。
一週間ぶりに会った小さな子は、随分と大きくなり、太ってもいた。ぷっくりとして、走る姿はまるでふわふわのボールのよう。とても可愛らしかった。
長谷川深は小さな子が自分より速く、すでに壁の根元に着いているのを見て、下で焦って回り、少女を見上げてニャーンと鳴き、抱っこをねだった。
長谷川深は肩をすくめ、小さな子を見ながら、その後ろの男性を指さして笑いながら言った。「彼に頼みなよ。僕にはどうしようもないから」
飴は焦って、ぐるぐると回りながら、壁の上の長谷川深を見たり、車椅子の長谷川深を見たりしていた。