第365章 藤田清義の呪い

水野日幸は仕方なく首を振り、最後の問題を終えてテストを閉じ、石田文乃を見つめながら言った。「文乃、城戸修のことを考えてのことだとわかるけど、彼の実力とアルバムのクオリティを考えると、ファンが必死に売り上げを伸ばす必要があると思う?」

ファンが必死に売り上げを伸ばしても、たかが知れている。曽我言助のように、ファンが作り出した売り上げは、発売開始1時間に集中して初動記録に挑戦するようなもので、確かに20万枚という数字は見栄えがいいけど。

その後はファンの購買力も徐々に減少し、売り上げの伸びは一般層次第になる。一般の人はルックスなんて気にしない、ただ曲が良いかどうかだけを判断基準にする。

ファンが話題だと言っても、バズったと言っても、本当のブレイクではない。一般の人々がバズったと言い始めて、初めて本当のブレイクと言える。

遠い例は置いておいて、近い例で言えば『笑江山』がそう。主演から脇役まで全キャスト、さらには制作スタッフまで、みんな一般層からの支持があり、ファンや支持者がいて、これこそが真の大ヒット作品だ。

だから、最も重要なのはファンではなく、一般層なんだ。クオリティさえ高く、十分に優れていて魅力的なら、人々に受け入れられないわけがない。

「同感です」

「私も賛成」

「日幸姉の言う通りよ。城戸修はファンに売り上げを伸ばしてもらう必要なんてないわ。石田文乃、あなたのやり方は彼のプロフェッショナリズムを侮辱してるのよ」

みんなようやく堂々と反論できるようになった。とはいえ、支援はするつもりだ。城戸修が日幸姉のお気に入りのシンガーであり、女子たちの新しい推しであることは置いておいても、曲も良いし、喜んでお金を出すつもりだ。

それに城戸修を有名にすることは、結局は日幸姉を助けることになる。

城戸修が曽我言助を圧倒することは、曽我家の面目を潰すことになる。それを考えると、彼らは嬉しくて仕方がない。

「実物のアルバムを100枚買います」

「私は500枚」

「じゃあ私は1000枚にしとくわ!」

みんなが次々と数字を言い始めた。

水野日幸は少し頭が痛くなって眉間をさすった。これらの数字は全て彼らが考えぬいたものだとわかっていたし、止めることもできないので、何も言わないことにした。全て彼らの気持ちだから。