水野日幸は仕方なく首を振り、最後の問題を終えてテストを閉じ、石田文乃を見つめながら言った。「文乃、城戸修のことを考えてのことだとわかるけど、彼の実力とアルバムのクオリティを考えると、ファンが必死に売り上げを伸ばす必要があると思う?」
ファンが必死に売り上げを伸ばしても、たかが知れている。曽我言助のように、ファンが作り出した売り上げは、発売開始1時間に集中して初動記録に挑戦するようなもので、確かに20万枚という数字は見栄えがいいけど。
その後はファンの購買力も徐々に減少し、売り上げの伸びは一般層次第になる。一般の人はルックスなんて気にしない、ただ曲が良いかどうかだけを判断基準にする。
ファンが話題だと言っても、バズったと言っても、本当のブレイクではない。一般の人々がバズったと言い始めて、初めて本当のブレイクと言える。