第366章 おとなしくて可愛い

藤田清義は飲酒が原因で急性胃穿孔を起こし、入院治療が必要となった。

水野日幸は手術費を支払いに行き、戻ってきた時、医師から注意事項を説明され、患者の様子をさらに観察して手術の必要性を判断すると言われた。

「文乃、先に帰りなさい。私が見ているから大丈夫よ」水野日幸は前世で藤田清義に借りがあったに違いないと思った。

彼は早くも遅くも気を失わず、わざわざ彼女の前で気を失うなんて、明らかに彼女に面倒をかけようとしているとしか思えなかった。

「一緒にいるわ」石田文乃は言い終わると、心配そうに彼女を見つめた。「一人で大丈夫?」

「大丈夫じゃなくても大丈夫にしないと。病院の規則で、患者一人につき付き添いは一人までよ。すぐに看護師が来て追い出すわ」と水野日幸は言った。

「じゃあ、夕食を買ってきて、一緒に食べてから帰るわ」石田文乃は彼女と一緒にいたかったが、病院の規則があるなら仕方がない。