「城戸修の『君だけが好き』よ」石田文乃も誇らしげな笑みを浮かべながら、特に強調して言った。「彼が作詞作曲した曲で、メインの曲じゃないんだけど。もし気に入ったら『ミュージックブラインド』をダウンロードしてみて。そこに独占配信のデジタルアルバムがあるわ」
「文乃、行くわよ」水野日幸は石田文乃の手を引いて歩き出した。このまま放っておけば、また延々と人に推薦し続けるに違いない。出口で女性DJの方を振り返り、誠実に謝罪した。「申し訳ありません、お邪魔しました」
女性DJはまだ曲の余韻に浸っていて完全に我に返っていなかった。顔を上げた時、彼女の美しさに一瞬目を奪われ、慌てて首を振って恥ずかしそうに笑った。「い...いえ、大丈夫です」
我に返った時には、水野日幸の凛とした横顔が一瞬だけ目の前を通り過ぎ、孤高な影だけが残された。女性である自分でさえ、思わず心臓の鼓動が速くなった。
さすが女神は女神だ。今学期に校内美人コンテストがあれば、間違いなく水野日幸が一位を取るだろう。あまりにも美しすぎる。
でも、あの城戸修の声は、あまりにも魅力的で魔力的だった。神から授かった声と言っても過言ではない、まさに生まれながらの歌手だ。
女性DJは慌ただしく興奮して放送室の前に走り、CDケースを手に取って表紙のポスターを見た時、目が輝いた。かっこよすぎる!
エレベーターに着いた石田文乃は不満を漏らした。「コスモスエンタテインメントって何なの?ネーミングセンスないの?誰がつけたの、音楽アプリなのに『ミュージックブラインド』って」
水野日幸は冷たい目で彼女を見つめ、刃物のように鋭く、作り笑いを浮かべた。「ミュージックブラインドがどうしたの?覚えやすくて特徴的じゃない」
ネーミングセンスがない?
彼女の口から自分がネーミングセンスがないと?
石田文乃は神経が図太く、彼女の放つ小さな刃に全く気付かず、さらに死の縁で挑発し続け、容赦なく批判した。「どこがいいの?センスゼロじゃない。次に動画アプリ出すときは『ビデオブラインド』って名付けるの?料理アプリなら『クッキングブラインド』、小説アプリなら『リーディングブラインド』とか?何それ、ははははは」
彼女は話せば話すほど楽しくなり、自分で自分を笑わせ、思わず手を叩いて大笑いした。