第346章 仲が良い

曽我時助は午後、辻緒羽が国際クラスの生徒たちと一緒に授業をサボったと聞き、賭けの件に関係があると不安になり、早めに帰宅した。

リビングに着くと、書斎から厳しい怒鳴り声が聞こえてきて、血の気が引いて走り寄った。

「父さん、本当に僕じゃないんです。三番目の弟なんです。弟が僕に頼んできて、どうしても賭けを設定してほしいと。ご存知の通り、『笑江山』の件で、ずっと恨みを持っていて、この機会に面子を取り戻したかったんです。」

「三番目が頼んだからって?頼まれたからって何でも従うのか?」

「弟なんです。あんなに頼まれたら、どうしようもないじゃないですか?三番目は視聴率が絶対2%を超えないと言ってました。そうすれば儲かって、父さんも喜ぶはずだったのに。まさか視聴率が爆発するなんて誰が知るはずがありましたか。」

書斎では会話が続いており、曽我言助は曽我時助が頼んできて賭けを設定させたと繰り返し主張し、全ての責任を曽我時助に押し付け、自分の責任を逃れようとしていた。

曽我時助は入り口に立ち、中の声を聞きながら、悲しく、滑稽で、哀れに感じ、拳を強く握りしめ、目に憎しみが渦巻いていた。

なんてことだ!

これが自分の信頼していた兄だというのか!

これが全身全霊で信頼していた兄だというのか!

問題が起きていない時は良い兄弟で、問題が起きれば自分だけきれいに抜け出し、無垢な白蓮の花になり、全て自分の責任にして、自分が強要して賭けを設定させたことにするとは!

本来なら、事が起きてしまった以上、二人で責任を負うよりも、この件は自分一人で背負おうと考えていた。大切な兄を困らせたくなかったから。

でも兄は?

兄のやったことを見てみろ?

兄は自分を裏切り、全ての責任を自分一人に押し付けた。

兄が非道なら、自分も義理など通さない。

書斎の中の怒鳴り声と罵り声はますます激しくなり、物を投げつける音も混ざっていた。

曽我時助は冷笑し、目は血走り、ドアを開けた。まるで地獄から這い出してきた悪鬼のように、唇には不気味な笑みを浮かべて言った。「父さん、この件は確かに僕が提案しましたが、最終的に決定を下したのは二番目の兄です。」

ふん。

これでいい。

一緒にやったことなら。

いい兄弟だろう、責任も一緒に負えばいい。