第354章 本命年の誕生日

辻緒羽は彼女が何を聞きたいのかと思い、だるそうに横目で見て言った。「彼は君の携帯が繋がらなかったって」

水野日幸は携帯を持って少し静かな場所に行き、窓際に立って外の街の灯りを眺めながら「もしもし」

藤田清明「君がくれた資料は、長谷川深のものだ」

水野日幸は眉間にしわを寄せた「何か問題でも?」

藤田清明「資料に問題はないんだが、彼との付き合いは兄貴に禁止されてる。もし知られたら、俺は終わりだ」

水野日幸「次兄は彼を知ってるんじゃないの?」

藤田清明「知ってるからって何だよ。知ってても敵同士ってことはあるだろ?兄貴は昔、奴にひどい目に遭わされたんだ。とにかく、これは受けられない」

次兄と彼の関係は比較的穏やかだったが、数回会った程度だ。共通の話題があって会話は弾んだが、友達というわけではない。