今日は素晴らしい晴れの日だった。
立春を過ぎ、夕暮れ時には、暖かいオレンジ色の陽光が降り注ぎ、辺り一面が温かな雰囲気に包まれていた。
水野日幸は飴菓子で作ったネックレスを首に掛け、カラフルな誕生日帽子を被り、ケーキと自分で用意したプレゼントを持って梯子に登り、お誕生日の主役の帰りを待ちながら、大きなサプライズを準備していた。
時間が一分一秒と過ぎていく。
あっという間に。
空が暗くなってきた。
水野日幸は待ちに待ち、首が伸びるほど待ったが、まだ帰ってこない。心も少しずつ沈んでいった。お兄さんは今日が彼女の誕生日だということを忘れてしまったのだろうか、それとも元々誕生日を祝わない人なのだろうか?
お兄さんにサプライズを用意するため、葛生にも誕生日のサプライズの件は一切話していなかった。
携帯を取り出し、数文字打った:「お兄さん、いつ帰ってくるの」
でも違うと思い、一文字ずつ消して、携帯をポケットに戻した。体を横にして、腕に頭を乗せ、飴と目を合わせてじっと見つめ合った。
飴が近寄って彼女の頬をすりすりし、ふわふわの毛が鼻をくすぐり、大きなくしゃみをした瞬間、車の音が近づいてくるのが聞こえた。
音のする方を見ると、黒いマイバッハが既に門の前に停まっており、男性がすぐに車から降り、車椅子を転がしながら中に入ってきた。
空は完全に暗くなっていた。
水野日幸は急いで頭を引っ込め、ライターを取り出してケーキのろうそくに火を付けた。
長谷川深は遠くから塀の上に小さな影を見つけ、それが自分の家の少女だとすぐに分かった。しかし、いつもと違うのは、こんな遅い時間でも塀の上に座っていることだった。
普段なら、暗くなれば塀の上にはいないはずだ。たとえ塀の上で待っていても、携帯の画面を明るくしてゲームをしているはずだった。
飴は塀の上に座り、彼に向かってニャーと鳴き、振り返って水野日幸を見た。
長谷川深は塀の向こうで、暖かいオレンジ色の光が揺らめくのを見た。その光は塀の上に座る飴の影を長く長く伸ばし、少し不思議そうに「日幸?」と呼びかけた。
少女は何をしているのだろう?
なんだか神秘的だ。
水野日幸は突然ケーキを持って目の前に現れ、澄んだ声で喜びを込めて、甘く可愛らしく「お兄さん、お誕生日おめでとう!」と言った。