第355章 日幸、飛び降りて

今日は素晴らしい晴れの日だった。

立春を過ぎ、夕暮れ時には、暖かいオレンジ色の陽光が降り注ぎ、辺り一面が温かな雰囲気に包まれていた。

水野日幸は飴菓子で作ったネックレスを首に掛け、カラフルな誕生日帽子を被り、ケーキと自分で用意したプレゼントを持って梯子に登り、お誕生日の主役の帰りを待ちながら、大きなサプライズを準備していた。

時間が一分一秒と過ぎていく。

あっという間に。

空が暗くなってきた。

水野日幸は待ちに待ち、首が伸びるほど待ったが、まだ帰ってこない。心も少しずつ沈んでいった。お兄さんは今日が彼女の誕生日だということを忘れてしまったのだろうか、それとも元々誕生日を祝わない人なのだろうか?

お兄さんにサプライズを用意するため、葛生にも誕生日のサプライズの件は一切話していなかった。