葛生は驚いて、なんてことだ、これはなんという挑発的な言葉だろう、水野お嬢様はわざとボスを誘惑しているのではないか!
水野日幸はついに堂々と彼の前に立った。壁を隔てることなく、面と向かい合って、真摯な様子で首にかけていたフルーツキャンディのネックレスを外し、さっと近づいて彼の首にかけた。目を細めて笑いながら、甘く澄んだ声で「誕生日プレゼントよ」と言った。
長谷川深は少し目を伏せ、首にかかったネックレスを見つめた。それは少女が普段から大好きなフルーツキャンディを一つ一つ繋げたもので、とても可愛らしく、彼女らしいものだった。
キャンディの甘い香りがかすかに漂ってきたが、それは彼女の笑顔の万分の一ほどの甘さもなかった。
水野日幸は人を誘惑し、プレゼントを渡した後、今度は真面目な表情になり、ケーキの横にしゃがんで、葛生に手を伸ばした。「ライター貸して」