水野日幸は車椅子を押しながら、更衣室へ行って上着を取り、彼に着せてあげた。そして薄い毛布を取り出し、丁寧に折って彼の足にかけ、彼の前に半蹲みになって視線を合わせた。「お兄さん、手を出して」
長谷川深は両手を差し出し、優しい眼差しで彼女を見つめた。
水野日幸は手品のように二つのカフスボタンを取り出し、彼の片手の袖口を留めながら、笑顔で言った。「誕生日プレゼントよ」
長谷川深は眉を少し寄せ、少女の美しい目元を見つめ、彼女が丁寧に優しくカフスボタンを付けてくれる様子を見ていると、心が潤され、温かい感動が心に満ち、少しずつ全身に広がっていった。
カフスボタンは美しく、デザインもユニークで、エメラルドが散りばめられており、そのデザインは一目で彼女の手によるものとわかった。