水野日幸は辻緒羽に薬を一瓶渡した。この薬の主な効果は神経系を覚醒させるもので、長谷川深のために用意したものだった。
この薬の材料は、すべて極めて貴重な漢方薬材で、純度は現在の製薬設備で精製できる最高のものだった。
清水年彦は神経毒素に攻撃されており、この薬は彼の神経毒素を解毒することはできず、ただ神経系の死亡速度を遅らせることしかできなかった。
水野日幸は誰かに頼み事をしたことがなかったが、清水年彦の治療のために、初めて人に頼んだ。彼女は時間に追われており、直近の航空便のチケットも買えなかったため、人に頼むしかなかった。
玄関で、車のクラクションが鳴った。
水野日幸はバッグを背負って走り出し、頼んでいた人が車の中で笑顔を見せているのを見て、すぐに駆け寄った。「お兄さん、チケットは?」