第400章 投資家の交代

水野日幸は自分の頬に触れながら、冷静に藤田清明に尋ねた。「私の顔に何かついてる?」

車の中で、飴が彼女の頬を舐めていた。

藤田清明は首を振った。「何もついてないよ」

水野日幸はそれを聞いて、また彼女を見つめている美しいお姉さんの方を向いた。そのお姉さんは彼女の視線を避けることなく、堂々と頷いて微笑みながら挨拶をした。

水野日幸もその美しいお姉さんに微笑み返したが、内心では困惑していた。なぜ自分を見つめているのか聞きたかったが、相手の視線には善意が感じられたので、聞き出すこともできなかった。

どうやら研究室は本当に部外者の立ち入りを制限しているようで、見慣れない顔が入ってきたため、観光客でも見るかのように注目されているようだった。

藤田清明には重要なプロジェクトが控えており、スケジュールはかなりタイトだった。彼女を迎えに行く時間さえ無理やり作り出したものだった。彼女を希望の実験設備室まで案内し、アシスタントを一人付けた後、急いで立ち去った。

アシスタントは気品のある美女で、ジェニファーという名前だった。金髪碧眼で聡明かつ有能な様子で、研究者に対する固定観念とは全く異なっていた。

水野日幸は最先端の設備を借りるだけで、アシスタントは必要なかったので、ジェニファーには自分の仕事を続けるよう伝え、一人で実験室に入った。

ここまでの道のりで、なぜここが世界最高峰の医学研究所なのか、完全に理解できた。

研究所の広大な敷地面積はもちろんのこと、各研究部門がそれぞれ独立した建物を持っていた。他の建物の設備は見ていないが、

彼女が訪れたこの中央実験棟は、間違いなく研究所の心臓部だった。研究員から医療機器まで、すべてが国際最高水準で、浅井家の医学研究所の機器設備と比べても数段上のレベルだった。専門スタッフに至っては言うまでもない。

これはまだ研究所の氷山の一角に過ぎない。数十年という時間で、これほどの規模にまで発展し、このような知名度を築き上げたのは、結局のところ、資金の力だった。

彼女にはこのような研究所を建設する夢さえ持てなかった。藤田家の基盤がなければ、これほどの資金は燃やせない。借りることができるだけでも天に感謝すべきだった。

実験室に入り、設備を一瞥した後、恒温槽を実験台の上に置き、中から血液サンプルを取り出して作業を始めた。