第401章 藤田母のミニケーキ

彼女は男というものを見抜いていた。好きな時は宝物のように大切にするが、嫌いになれば使い古した履物のように捨ててしまう、心のない生き物だと。

曽我若菜は悲しそうな顔で前に進み出て、パパ、ママと呼びかけ、曽我逸希が階段を上がるのを見ながら、ますます悲しくなった。「ママ、安心して。私は必ず妹とよく話して、家に帰るように言います。妹が帰ってきたら、すぐにこの家を出ていきます。」

川村染は心配そうに彼女の手を叩きながら慰めた。「お父さんはあなたを責めているわけじゃないのよ。最近会社で色々あって、あなたも知っているでしょう。気分が良くないだけなの。」

曽我若菜は目を赤くして、深い悲しみを表した。「私には父さんを喜ばせる力がないけど、妹が帰ってきたら、きっと喜ぶでしょう！」

「若菜」川村染はため息をつき、水野日幸に対する気持ちがどうなのか分からなくなっていた。憎しみと怒りの後に残ったのは絶望だけだった。もう帰ってくることは期待していない。「ママの心の中で、あなたはずっとママの娘よ。」

曽我若菜は感動した表情で彼女を見つめ、すぐに抱きしめて、かすれた声で弱々しく呼びかけた。「ママ。」

川村染は彼女と少し個人的な話をした後、『国民アイドル』の件を持ち出し、簡単に状況を説明して、真剣な口調で言った。「若菜、パパとママはあなたの実力を信じているわ。きっとセンターでデビューできるはずよ。」

夫は新しい投資家側と最大限交渉を重ね、安全を期してデビュー枠を一つ確保した。若菜は確実にデビューできるが、センターでデビューするには彼女自身の実力次第だった。

この件は曽我若菜にとって晴天の霹靂だったが、心の中にどれほどの恨みや怨みがあっても、とても分別のある態度を示した。「ママ、分かってます。パパとママを責めたりしません。」

はっ！

これが彼らの約束だというの！

曽我家はそこまでお金に困っているの？

曽我逸希の口から出た言葉は一言も信じられない。きっと水野日幸が番組に参加したくないから、番組への投資を諦めたんでしょう！

デビュー枠なんて何の意味があるの？

私が欲しいのは確実なセンター枠よ！