第408章 生存確率

長谷川深の表情が少し変化し、目の奥に同情の色が浮かんだ。彼の感情には共感できるものがあった。葛生を見て、「酒を持ってきなさい」と命じた。

彼と比べれば、自分はまだ幸運だった。

彼は既に探していた少女を見つけたが、彼の妹についてはまだ手がかりがないようだった。

水野日幸は彼を見つめていた。普段はどんな時でも紳士的で穏やかな彼が、外部の人の前で本当の感情を見せることは決してなかった。

しかし今は、たった一言で、全身から寂しさと悲しみが滲み出ていた。それを見ていると胸が痛くなり、どう慰めればいいのか分からなかった。

藤田清輝は酒を飲んでいたが、それは一人で飲む酒、憂さ晴らしの酒だった。

長谷川深は一滴も口にしなかった。

水野日幸も酒は飲めなかった。彼女には仕事があり、飲みすぎて明日研究室に行けなくなっては困るので、分別をわきまえていた。