第474章 手のひら返し

「もちろん、一回戦で帰りたいなら休んでもいいわよ」水野日幸は、彼女に対して疑いの目を向けている練習生たちを見ながら、付け加えた。

オーディション番組に応募して、番組側の選考を通過した人たちは、誰一人として最初から一回戦で帰るつもりで来ているわけではなく、皆デビューを夢見ていた。

それに、塩漬けの魚だって、時には返り咲きたいと思うものだ。これまでの不満や落胆は、ただ講師の無責任さと、番組側が彼女たちを生贄にするような行為のせいだった。

今、出雲先生がそう言うのを聞いて、皆一致団結して力を振り絞った。たとえ脱落しても、たとえ一回戦で終わっても、堂々と去りたい。観客やファン、講師たちに自分たちの努力と成長を見せたい。何の進歩もないままこっそりと去るようなことはしたくなかった。