第474章 手のひら返し

「もちろん、一回戦で帰りたいなら休んでもいいわよ」水野日幸は、彼女に対して疑いの目を向けている練習生たちを見ながら、付け加えた。

オーディション番組に応募して、番組側の選考を通過した人たちは、誰一人として最初から一回戦で帰るつもりで来ているわけではなく、皆デビューを夢見ていた。

それに、塩漬けの魚だって、時には返り咲きたいと思うものだ。これまでの不満や落胆は、ただ講師の無責任さと、番組側が彼女たちを生贄にするような行為のせいだった。

今、出雲先生がそう言うのを聞いて、皆一致団結して力を振り絞った。たとえ脱落しても、たとえ一回戦で終わっても、堂々と去りたい。観客やファン、講師たちに自分たちの努力と成長を見せたい。何の進歩もないままこっそりと去るようなことはしたくなかった。

水野日幸は最前列に立ってダンスを先導し、最初の動きから正確で完璧で、一気呵成に、まるで流水のように滑らかで、人々の目を引いた。

F組の練習生たちは、目が利く者ばかりで、彼女の最初の動きを見ただけで、彼女がこのダンスを踊れることを理解した。

彼女が直前に急いで練習したものであれ、全てが番組側の台本通りであれ、あるいは彼女にダンスの基礎があったにせよ、講師に見捨てられていないこと、番組側の生贄にされていないことを知り、突然希望が湧き、やる気も出てきた。

水野日幸は優秀な講師として、ダンスを教えながら、動きの解説をし、要点に注意を促すと同時に、鏡に映る一人一人を見つめ、彼女たちの動きと間違いを修正した。

F組の女の子たちは突然気づいた。出雲先生と一緒に踊ると、なぜかこの一見難しそうなダンスも、随分と簡単になったように感じられた。

出雲先生は言葉は少なかったが、一言一言が要点を突いていて、彼女のノートに書かれた実力分析のように、まるで目からウロコが落ちるような、暗闇に光が差すような感覚を与えた。

しかし厳しすぎた。彼女の目にレーダーでも付いているのではないかと疑うほど、どうやって練習生全員に目を配れるのか。動作の高さが足りないことまで指摘されてしまう。

このレベルで、もし彼女が直前に急いで覚えたダンスだと疑うなら、それは彼女たちが馬鹿なだけだ。出雲先生は間違いなく強力なダンスの基礎を持っている。