A組にも小グループができていた。七人のうち、石田文乃、山本雅子、関口柔以外の二人も、彼女たちのグループに引き込まれていた。
今、彼女たち二人も他の二人に引っ張られて、エレベーターを降りてF組に向かっていた。F組の様子が気になって見に行くことにしたのだが、タイミングよく出雲先生と出くわしてしまった。
曽我若菜が最初に挨拶をし、優しく微笑んだ。「出雲先生、こんにちは」
水野日幸は無表情で彼女を一瞥し、頷いた。
木村鷺たちも挨拶をしたが、彼女は話が多く、優越感も強かった。自信に満ちた様子で近づいていき、「出雲先生、ダンスがすごく上手いって聞きましたけど、ちょっと分からないところがあるんですが、教えていただけませんか?」
水野日幸は率直に断った。「私はあなたの担当講師ではありません」
木村鷺は元々試すつもりで聞いただけだった。これで確信した。この出雲先生は、本当に何も分からない役立たずだったんだ!
ふふふ!
こんな言い方で断るなんて、自分で自分の顔に泥を塗るのを急いでいるみたいね!
曽我若菜も心の中で冷笑した。コネがあるっていいわね。どんなダメ人間でも、ここで威張り散らすことができるんだから。厚かましいにも程があるわ、全く自覚がないなんて。
他の二人の女子は、水野日幸がF組の練習室に入ってから、口を押さえて笑い出し、曽我若菜と木村鷺を引っ張って前に進みながら、小声で噂し始めた。
「出雲先生は何も分からないって本当だったのね!」
「F組の人たち、本当に八代前世からの悪運を背負ってるわね。私が彼女たちなら、今すぐ辞退するわ。ステージで恥をかくよりはましよ」
「『私はあなたの担当講師ではありません』だって。ハハハ、もし私の担当講師だったら、今すぐ寮に戻って荷物をまとめて、さっさと家に帰るわ」
「私はあなたの担当講師ではありません」って一言で誤魔化せると思ってるの?どの講師がこんな風に生徒を断るの?要するに自信がないのよ。何もできないから、バレて恥をかくのが怖いだけ。
彼女たちがそう話している時。
ちょうど佐藤嫣と伊藤未央の二人とばったり出くわした。