第405章 銃口に当たる

眠っていた飴は、肉の香りを嗅ぎつけて這い上がり、その香りを追って長谷川深の方へ這って行き、ニャーンと鳴いて甘えながらおねだりした。

長谷川深は飴を抱き上げて膝の上に置き、おやつの袋からキャットニップを取り出した。意気地なしの小さな奴め、すぐにキャットニップに魅了されて、肉のことなど忘れてしまった。

水野日幸は飴を見て、こいつはどこへ行くにも付いて来るなと思った。

長谷川深は笑いながら説明した。「ここに来たばかりで環境に慣れていないから、安心できないんだ。僕の膝の上から離れたがらないのは、置き去りにされるのを怖がっているんだよ。」

この小さな奴め、なかなか賢いじゃないか!

水野日幸は率直に二文字で、軽蔑するように呟いた。「情けない!」

飴はキャットニップに魅了されて心地よい喉を鳴らしながらも、合間を見て水野日幸に向かってニャーンと一声鳴いて、抗議した。

水野日幸たちがちょうど立ち去ったところだった。

藤田清義は車に乗り込み、家に帰ろうとしていた。

藤田清明は実験室の入り口から突然飛び出してきて、風のように走ってきたが、運転席に家のドライバーではなく藤田清義がいるのを見て、顔色が真っ青になり、すぐに逃げ出そうとした。

藤田清義はすでにドアを開け、三歩を二歩で追いつき彼を捕まえ、目に殺気を漂わせながら言った。「俺に会いたくないなら、誰を探しているんだ?」

藤田清明は見つかってしまい、泣きそうになり、怖くて声を震わせながら言った。「兄さん、話し合えばいいじゃないですか。」

藤田清義は奥歯を噛みしめ、冷笑して言った。「今になって話し合おうというのか。俺が何と言ったか覚えているだろう?俺の言葉を聞き流していたのか?」

「品がない。」藤田清明は全身を震わせながら言った。「兄さん、そんな言い方はよくないです。」

藤田清義はまず水野日幸に腹を立て、さらに長谷川深にダブルパンチを食らい、心の中は怒りの炎で一杯だった。当然、誰かに八つ当たりしたかった。

藤田清明はまさに銃口に飛び込んでしまったようなもので、何も言えず何もできず、ただ許しを乞うしかなかった。「彼女の友達が神経毒素にやられて、二年間植物状態なんです。実験室を借りて、彼女が自分で実験をするだけで、僕たちはただビジネスをしているだけです。」