第502話 一方的な言い分を信じる

向かいの曽我は、もうメッセージを送ってこなくなり、ただの取引、お金と商品を交換するだけの買い手と売り手の関係になった。余計な言葉など必要なかった。

水野日幸は曽我言助から送られてきた編曲を見て、彼らがこの曲を選ぶことは予想していた。しかし、この曲以外の編曲は全てオリジナルで、1分1曲のオリジナル曲は、ただ彼らを騙すためのものだった。

曽我言助が選んだこの曲だけは、彼女が海外のマイナーな有料音楽フォーラムからダウンロードしたもので、編曲のリズム感が良く、耳に残り、とても聴きやすい。一聴して驚くような曲ではないが、独特な風味を持っていた。

この曲は、彼女が2日間かけて探し、吟味して最終的に選んだもので、原作者は知的障害を持つ人だが、音楽において非常に独特な才能を持っていた。