「まだ帰らないの?」水野日幸は花餅を食べ終わってから、彼女に尋ねた。
関口月:「もう少し待ってます。」
水野日幸は横目で彼女を見た。「噂になったらどうするの?私たちが夜中に密会してるって。私は構わないけど、あなたは知られたら良くないでしょう!」
関口月:「私は芸能界の人間じゃないし、私たちダンス界では実力が一番大事。それに、私たちは二人とも独身だし、会うのは普通でしょう?付き合うのも自然なこと。」
水野日幸は目を転がして立ち上がった。「じゃあ、シャワーを浴びて寝るわ。」
彼女の言葉が終わるか終わらないかのうちに、ドアをノックする音が聞こえた。
関口月は彼女がドアを開ける気配がないのを見て、浴室に入り、ドアを閉めたので、客である自分が立ち上がってドアを開けるしかなかった。
番組スタッフがルームキーを持ってきたのかと思ったが、ドアを開けると、そこには五人が立っていた。
そう。
五人。
ゲスト組の五人の講師が全員揃っていた。夜遅くに連絡を受けて集まってくるなんて、大変だったに違いない。
木村春奈と谷川陽の二人は、ほとんど身支度をしていない様子で、すっぴんのまま、おそらく服を着替えただけで来たようだった。
藤原遥と夏目弥生は、常に完璧を求める人たちで、絶対にすっぴんでカメラの前や人前に出ることを許さない人たちだが、このメイクは明らかに急いでいた様子だった。
曽我言助もメイクをしており、少し改まった服装に着替えて来ていた。
「ようこそ、ようこそ。」夏目弥生は最初に関口月と親友同士のような大きな抱擁をした。「すごいじゃない、私にまで内緒にしてたなんて。」
彼女は謎のゲストについて調べていて、偶然にも最初に尋ねたのが関口月だったが、その時は否定されていた。
「今回は私じゃないんです。」関口月は正直に言った。「私は次回の分で、今回は他の人の代わりに来ただけです。その方がスケジュールが合わなくて。」
「誰なの!」藤原遥は関口月とそれほど親しくはないが、知り合いではあり、また五人の中で最も噂好きだった。
「私も知りません。」関口月は首を振った。
谷川陽は真面目に頭の中を探っていた。番組が招待する人物は、みな重要な人物ばかりで、スケジュールが合わなかった人物も、きっと知名度の低くない人物に違いない。