葛生も誰かに見られていることを感じ、ボスの方向に目を向けた。危険な眼差しで見渡すと、誰がそんなに大胆なのか、目が要らないなら抉り取ってやろうと思ったが、相手の顔を見てからは複雑な表情を浮かべた。こっそりと車の方向を見ようとしたが、目を抉られるのが怖くて、できなかった。
その女性は他でもない、水野お嬢様の師匠の姉、関口月だった。
そのとき、水野日幸も車のドアを開けて降りた。最初に目に入ったのは向かい側の、厚着をして妙に神秘的な雰囲気を醸し出している人物で、まさに関口月だった。
関口月は見つかったことに気づき、軽く頷いて謝意を示した。すると車からもう一人降りてきたのを見て、立ち去ろうとした動きを止め、手を振って挨拶をした。
水野日幸も彼女に手を振り返した。番組スタッフが言っていた、自分も知らない謎のゲストというのは、もしかして月姉なのかもしれない!