それから。
入った。
長谷川深は複雑な表情で自分の手を見つめた。
この手は、銃でも、ダーツでも、投げ物でも、常に百発百中だった。
水野日幸は店主を見て言った:「私たちにください!」
店主はぬいぐるみのウサギを彼女に渡し、彼女をじっと見つめ、さらに車椅子に座る男性を見た。笑いたくても笑えない。結局、あれだけのお金を稼がせてもらったのだから。
これ以上入らないようなら、自分の輪に問題があるか、車椅子のイケメンがわざと外しているのかと疑わざるを得ない。
見物客の中には、もう店主が輪に細工をしているのではないかと疑い始める人もいた。誰も入らないのは、わざとお金を騙し取ろうとしているのだと。店主も困っていた。
幸い、この娘が一発で入れた。運が良かったわけではなく、間違いなく達人だ。
水野日幸はウサギを抱きしめて振り返り、かぶせてあったビニール袋を外して長谷川深の手に渡し、少し身を屈めて笑顔で尋ねた:「もう一回する?」
長谷川深の顔が、かすかに赤くなった。軽く咳払いをして顔を背け、冷静に言った:「行こう」
完全に負けた。
水野日幸は、ウサギのぬいぐるみを抱きしめ、眉を下げる男性を見つめた。可愛らしいぬいぐるみは、彼の高貴で冷たい雰囲気とは不釣り合いだったが、とても可愛らしかった。唇を噛んで密かに笑いながら、彼を押して進んだ。
店主は彼女が一つの輪だけ使ったのを見て、残りの輪を持って呼び止めようとしたが、彼女が少し前かがみになって車椅子の男性と話しているのを見て、足を止めた。
この娘は本当に美しく、まるで仙女のようだった。車椅子の男性も非常に端正で、絵から抜け出してきたような人物だった。
二人の前には、華やかな灯りが輝いていた。
二人が一緒にいる光景は、まるで息を呑むほど美しい絵巻物のようだった。
ただ残念なことに、男性の足が不自由だった。しかし、この世に完璧なものなどない。欠けているからこそ、最も真実の美しさがある。
遊園地は相変わらず賑やかだった。
水野日幸は彼を押しながら、心まで静かで穏やかになった。ただこうして歩き、耳に届く喧騒を聞き、混み合う人々を見ているだけで幸せを感じ、ゲームのことなどすっかり忘れていた。