「はい」水野日幸は考えることもなく小さな頭を縦に振り、瞳を動かして彼の表情を観察し、何か見られてしまったかどうかを確認した。
「じゃあ、二枚のパスを買おうか?」長谷川深は画面を見ながら彼女に尋ねた。
「三枚にしましょう!」水野日幸は頷いて、葛生の方を見た。
何をするにしても、何で遊ぶにしても、お兄さんと一緒なら嬉しくて、両手両足を挙げて百パーセント賛成で、目の中も心の中も喜びでいっぱいだった。遊園地のフェスティバルは、デートにぴったりの場所だった。
葛生は返事ができなかった。ボスが二枚と言ったということは、この邪魔者である自分を一緒に行かせたくないということだ。なぜ水野お嬢様はそれを理解していないのだろうか?
長谷川深の目の奥底で、暗い自嘲の波が揺れていた。魂さえも震えているようだった。彼は彼女が何を考えているのかを知っていたが、それでもなお断固として「二枚だ」と言った。