第540章 全く興味がない

水野日幸と藤田清明が到着した時、料理は既にテーブルに並べられていた。テーブルには豪華な料理が並び、家庭料理や海鮮料理もあった。

藤田清明は、水野日幸が自然に長谷川深の隣の席に座るのを見た。車椅子で特別に用意された席に着くと、二人の使う食器が他の人たちのものと少し違うことに気づいた。

二人の箸には特別な彫刻が施されており、茶碗にも縁に模様が入っていた。他の食器は白磁のままだった。

彼はそれを見て胸が痛んだ。カップル用だったのだ!

長谷川深は主人として彼に挨拶をした後、手長エビの殻を剥き始め、エビの身を目の前の皿に置いていった。エビの内子が最も美味しい時期で、黄金色に輝いて美味しそうだった。

水野日幸はロブスターの身を食べながら、藤田清明に説明した。「これを食べてみて。日本の最高級シェフが作ったんだよ。国賓級の料理長なんだ。」

藤田清明は食事が目的で来たわけではなく、長谷川深と同じ空間にいることで食欲もなかった。国賓級だろうが何だろうが、食べたことはあるのだ。

しかし、テーブルの料理の配置に疑問を感じた。彼は真ん中に座り、左側には海鮮料理、右側には家庭料理が並んでいた。

彼の右隣に座る瑾智の前には家庭料理しかなく、海鮮料理は手の届かない位置にあった。彼は笑いながら尋ねた。「瑾智先生は海鮮料理はお召し上がらないんですか?」

瑾智は笑って説明した。「海鮮アレルギーなんです。皆さんどうぞ。」

藤田清明はまた考え込んでしまった。父も海鮮アレルギーで、次兄も父の体質を受け継いで海鮮アレルギーだった。少しでも海鮮に触れると重症になる。彼と長兄は大丈夫なのだが。

とはいえ、この世界で海鮮アレルギーの人は、アレルギー持ちの中でも非常に多い。何の特別な意味もないのだ。

その日以降、藤田清明は長谷川深がいない時によく隣家を訪れるようになった。瑾智先生を長谷川深と関連付けて考えなければ、彼との付き合いはとても楽しいことに気づいていった。

しかし、彼の料理の腕前を試してみたいという願いは叶わないままだった。長兄から電話で帰るように催促されるまで、彼の作る料理を食べることができず、心残りのまま去ることになった。