第522章 誇りにしていた自尊心を粉々に

曽我若菜は写真を見た瞬間、雷に打たれたような衝撃を受けた。

ありえない。

ありえないわ!

どうしてこんな姿になってしまったの。

写真の人は、私じゃない、私じゃないわ!

ウォータープルーフのメイクをしたはず、来る前に水で試したのに、メイクが崩れるはずがないのに、どうしてこんなことに!

現場の司会者は、もう見ていられないほどだった。本当に素顔に対して全く自覚がない人がいるのかと思っていたが、彼女の表情を見て、やっと分かった。自覚がないわけじゃない、メイクを落とされたことに気付いていなかっただけだ。

ステージ上の練習生たちと、他のファンたちの表情は様々で、schadenfreudeな笑い、嘲笑、軽蔑、同情、憐れみなど、あらゆる感情が混ざっていた。

曽我若菜はそのまま立ち尽くし、周りの視線を感じながら、自分が今まさに道化師のように、大衆の目にさらされ、皆に笑われているような気分だった。