第585章 赤ちゃんが怖くて死にそう

石田文乃も素早く動いたが、水野日幸の表情の変化はもっと速かった。彼女が撮影したのは、ただ微笑んでいる顔の写真だけだった。少し残念そうに口を尖らせて、「本当にそっくりね!」と言った。

さっきのあの一瞬、日幸が窓の外を見ていた時、写真の中の藤田清義にとても、とても、とてもよく似ていた。まるで本当の兄妹なんじゃないかと疑うほどだった。

このことは言えない、言うと腹が立つことだけど、彼女はずっと残念に思っていた。なぜ日幸は藤田家の妹になれないのかと。日幸が藤田家の妹なら、彼女と日幸はこんなに仲の良い姉妹だから、四捨五入すれば、彼女も藤田家の妹になれるのに。

この身分を考えるだけでもワクワクする。しかも光輝兄は彼女が一番好きで尊敬しているアイドルだから、お兄さんと呼べるなんて、考えるだけで幸せな気持ちになる。