第597章 出雲七脚本家の新作、あなたは何の役

大方笑子は思わず口に出しそうになった。夫が買ってくれたものは何でも好きだと言いたかったが、最後の理性を保ち、興奮した声で「美味しい、全部美味しい」と言った。

「私もそう思います」と江川薫も頷いた。

なんて素晴らしい運命なんだろう。彼女は夫を生で見ることができた。目の前で、生きていて、話して笑っている夫を!

二人は大きな喜びに浸り、目を離すことができず、ずっと彼を見つめていたかった。まるで一瞬でも目を離せば、彼が消えてしまうかのように。

藤田清輝は水野日幸の頭を優しく撫でながら、笑顔で尋ねた。「これから軍事訓練があるけど、何か足りないものはある?景山昱に買いに行かせるよ」

江川薫は目が釘付けになり、羨ましくてたまらなかった。頭ポンポン、夫の頭ポンポンよ、なんて優しくて思いやりがあるの!