第611章 一口で1個を食べる

帝都で一番賑やかな商店街。

水野日幸が長谷川深の車椅子を押して商店街に現れた時、通行人は皆振り返って二人を見つめずにはいられなかった。女性は天女のように美しく、男性は仙人のように端麗で、二人とも人間離れした美しさだった。

「お兄さま、ソフトクリーム食べる?」水野日幸は嬉しそうに少し離れたスイーツ店を指さした。「買ってきます。」

長谷川深は眉間にしわを寄せ、彼女に注意した。「君は食べちゃダメだよ。お腹を壊すから、向こうでミルクティーを買おう。」

水野日幸の顔が一瞬で赤くなった。彼女よりも彼の方が覚えているなんて。生理まであと数日だったから、前後数日冷たいものを食べると痛くなるはずだった。でも食べたくて、甘えるような口調で「一口だけ食べていい?」

長谷川深は可哀想そうな子供を見るように頷いた。「一口だけだよ。」