長谷川深は胸が高鳴り、可哀想な少女を見つめながら手を差し伸べて言った。「隣の部屋で寝なさい」
水野日幸の目が急に輝き、何度も頷いた。「うん」
長谷川深が彼女を引き上げると、飴も彼女の腕から飛び降り、彼の足元に跳んで、にゃーにゃーと鳴いていた。
水野日幸は飴を恨めしそうな目で見つめた。彼女も膝の上に座りたかった!
長谷川深は少女を家に連れて帰り、温かい牛乳を一杯飲ませ、リンゴを一つ食べさせてから、ふらふらと寝室に戻らせた。彼女がドアを閉めるのを見届けてから、車椅子を転がして自分の寝室へ向かった。
ちょうど電気を消したところで、ドアの前で足音が聞こえ、そこで止まった。そして少女の甘い声がドアの外から聞こえてきた。「お兄さん、寝た?」
水野日幸は声を小さくして、こっそりと。
「寝たよ」長谷川深は体を起こし、ドアの方を見た。
水野日幸は鼻をすすり、そっとドアを押してみた。思いがけずドアが開いて、驚いて言った。「お兄さん、どうして寝るときに鍵をかけないの?誰かが悪いことをしようとしたらどうするの?」
長谷川深は小さくため息をつき、彼女にはなすすべもなく言った。「まだ眠れないの?行って寝る前のお話をしてあげようか、子守唄も歌ってあげる?」
少女は白い素足で、布団を抱えて、きらきらと大きな瞳で彼を見つめ、彼の心はすっかり溶けてしまいそうだった。
「お兄さん、床で寝てもいい?」水野日幸は期待に満ちた目で彼を見つめ、頬を膨らませた。まるで頬袋いっぱいに食べ物を詰め込んだハムスターのように可愛らしかった。
「風邪を引くよ」長谷川深は無奈と愛情を込めて彼女を見つめた。彼女をどうすればいいのだろう。
最近になって初めて知ったことだが、彼女はこんなに甘えん坊だった。彼女が甘えると、彼はすぐに降参してしまい、まったく抵抗できなかった。
「じゃあ...」水野日幸は突然得意げに笑った。「お兄さんの言う意味は、私がベッドで寝てもいいってこと?」
長谷川深は頷いた。「君はベッドで寝て、僕は床で寝る」
水野日幸の目の輝きが少し暗くなり、首を振って、布団の端を噛みながら、とても可哀想そうに言った。「お兄さんが風邪引いちゃう。私、眠れなくてもいいの!」