第615章 新しいドラマの台本

その日以来、水野日幸は自由気ままに過ごしていたが、しばらく水野に会っていないような気がした。水野はいつも忙しく、家にも帰れないほど忙しかったので、彼女は電話で話すしかなかった。

出雲絹代の方では、錦雲の秋季ファッションショーの後、高級ドレスの展示会もあり、以前より忙しくなっていた。食事も寝泊りも会社でするほどだった。

水野日幸は夜に授業があってもなくても家に帰り、選択科目の授業がある夜も基本的に9時には終わっていた。長谷川深が迎えに来れば家に帰り、迎えに来なければ寮に泊まり、大方笑子と江川薫という二人のルームメイトとの関係もますます良くなっていった。

11月中旬、出雲七が脚本を手がけた新しいドラマが、ついに待望の公開となった。ドラマのタイトルは『天運の娘』で、キャストと役柄も予定通り発表されたが、ドラマの内容については一切漏れておらず、視聴者たちの間でさまざまな憶測が飛び交っていた。

寮にて。

大方笑子と江川薫の二人は興奮して、入ってきたばかりの水野日幸にこの良いニュースを伝えた。「日幸、出雲七の新しいドラマがクランクインするんだって。」

水野日幸は「ああ」と答え、淡々とした表情を浮かべた。自分のドラマがクランクインするのだから、知らないはずがなかった。

「このドラマの内容がすごく知りたい。タイトルを見る限り、きっと『笑江山』みたいな女性主人公のドラマよね。天運の娘だから、きっと面白いはず。」大方笑子は出雲七のファンで、小説からドラマまで全て好きな、筋金入りのファンだった。

「出雲七先生の考えは、私たち一般人には推測できないでしょう。どうせ半月後には放送が始まるんだから、これまで待ったんだし、この程度の時間なんて大したことないわ。」江川薫は非常に冷静に見ていた。

週一回放送のドラマで、撮影と放送を同時進行させるのは、出雲七の一貫したスタイルだった。

広大なテレビドラマ市場で、『笑江山』以降、この方式を採用した制作会社やテレビ局もあったが、ストーリーのペース配分の問題で、効果は良くなかった。

しかも『笑江山』の人気は非常に高く、今でも各テレビ局で繰り返し放送されており、再放送の視聴率でさえ、同時間帯の新作ドラマを圧倒していた。

「薫の言う通りね。」水野日幸は笑顔でうなずき、同意を示した。

脚本の内容は、放送が始まれば分かることだった。