第614章 誠意が全くない

水野日幸も大豆田秋白の視線が長谷川深の方向に向いていることに気づき、心の中で死狐と罵った。

大豆田秋白は既に声を出し、目をちらりと向けて彼女に言った。「飴パパだね」

断定的な言い方で、彼女に尋ねているわけではなかった。

水野日幸は見つかってしまったが、隠すつもりもなく、頷いて「うん」と返事をし、長谷川深の方向に向かって明るく微笑んだ。

大豆田秋白の目に浮かんだ複雑な表情は一瞬で消え、水野日幸が見た時には既に感情を整えて、冗談めかして言った。「どうして彼をこちらに連れてこないの?」

水野日幸は分かっているくせにと言う目つきで彼を睨んだ。

大豆田秋白は笑って言った。「ああ、分かったよ。お母さんに知られたくないんでしょう?安心して、秘密は守るから」

彼は既に飴パパの正体を確信していたが、実際に彼を見た時は心臓が飛び出しそうになった。