「お兄さん、向こうに美味しいものはありますか?」水野日幸は彼を見つめ、食べたくなった。
「何が食べたい?空輸で送らせるよ」長谷川深は言った。
水野日幸は軽く咳をし、大きな瞳で陽光を浴びる男性をじっと見つめた。彼が笑うと、もともと端正な顔立ちが絵巻物の中のように見え、優しい眼差しで彼女を見つめる時、彼女は心を奪われ、思わず唾を飲み込んで「あなた!」と言った。
長谷川深は指を伸ばし、画面の中の少女の鼻先を軽くつついた。「じゃあ、帰ってから」
水野日幸は何度もうなずいた。「うんうん」
長谷川深は目の前の、見ることはできても触れることのできない少女を見つめ、心は満たされながらも空虚で、今すぐ抱きしめたいと切に思った。
二人は関係を確かめ合ってから、軍事訓練の時以外は、水野日幸は毎晩寝るまで彼とビデオ通話をしていた。