第711章 泥棒対策ではなく、彼女を防ぐため?

この一団の中で、長谷川深に連れられたことのある藤田清明、藤田寒吉以外は、みんな初めてこのような自己発熱型の火鍋を食べ、螺蛳粉も初めて口にした。

特に藤田清義は、普段からごちゃごちゃしたものを食べない主義で、彼の目にはゴミ同然のこうした食べ物を、以前なら見向きもしなかったが、今は家族と一緒に食べることで、ある種の楽しさを感じていた。

藤田君秋が一番たくさん食べ、一番楽しんでいて、忙しい中でも時間を作って尋ねた。「これは面白いわね。今まで知らなかったけど、結構美味しいし、材料も新鮮ね」

水野日幸は一番暇な一人で、他の人が何度もしゃぶしゃぶした後でようやく彼女の皿に届くものを食べていた。「おばさま、良いと思うでしょう?こういうものは、こちらで売れると思いますか?」

藤田君秋が何も言わないうちに。

藤田清義は箸を軽く叩き、目に諦めの色を浮かべながら軽く咳をした。「食事中だ、ビジネスの話はなし」

彼女は先ほど彼とあんなに長く話したのに、まだ足りないようで、また話題を持ち出した。

水野日幸も口を閉じ、簡単に二言三言だけ言った。「これは私たちの会社が去年立ち上げたブランドで、宣伝を始めたばかりで、まだ知名度は高くないんです。持ってきたものは全部その日に作られたもので、新鮮なのは間違いありません」

まあ、食事中にビジネスの話はしないということで。でも自己発熱型の火鍋や螺蛳粉、春雨、ご飯などは、海外での売上は主に日本人コミュニティ向けだろうし、外国人はこういうものには興味がなく、口に合わないだろうと彼女は思った。

それに、藤田家のような大企業は大きな利益を生む事業をしているのだから、こんな小さな利益の話はもうやめておこう。国内市場を開拓して、ブランドが確立されれば、それだけで十分だ。

ただ、国内では競争が激しく、こういうものには特許がないので、ブランドが確立されると模倣する企業が数え切れないほど現れ、市場シェアが分割されるのは確実だ。

この夜食は、家族全員が楽しく食べ、食べ終わった後もリビングでしばらく話をして、それぞれ自分の寝室に戻って休んだ。