鈴木和香は携帯の写真をしっかりと保存し、携帯を脇に置くと、少し首を傾げて、隣の男性を見つめた。
生まれ持った気質なのか、今こうして静かに眠っている彼でさえ、人を寄せ付けない孤独な雰囲気を漂わせていた。まるで他人の接近を拒んでいるかのように。
鈴木和香は来栖季雄をしばらくじっと見つめた後、手を伸ばして男性の頬に触れた。
電流が指先から心の奥底まで走り、思わず心臓の鼓動が早くなった。
彼が目覚めているときなら、こんなに大胆に彼に触れることなど、絶対にできないはずだった。
鈴木和香は恍惚とした。今、手を伸ばせば彼に触れることができるのに、彼女は二人の間の距離が遠すぎて、この一生をかけても近づけないような気がしてならなかった。
よく考えてみれば、本当に不思議なことだった。彼女は十三年もの間、静かに目立たずに彼を愛し続けていたのだから。