第26章 誰が入ることを許したのか？（6）

目を覚ましたばかりのせいか、来栖季雄の表情は少し茫然としていた。彼は鈴木和香をじっと2秒ほど見つめ、そして自分が掴んでいる彼女の手首に視線を落とした。彼女が手を自分の前に差し出した意図が分からず、眉間にしわを寄せながら、冷淡さの中に目覚めたばかりの慵懒さを含んだ声で尋ねた。「何をするつもりだ？」

来栖季雄は言い終わるや否や、自分が青葉の別荘に戻ってきたことを思い出した。そこで、いくらか困惑した様子で周りを見回し、確かにここが青葉別荘の自分がいつも使う寝室だと確認すると、突然鈴木和香を鋭く見つめ、簡潔かつ直接的に冷たい声で問いただした。「なぜ俺がここに別荘を持っていることを知っている？誰に許可を得てここに入ってきた？」

来栖季雄が言い終わると、鈴木和香が自分のTシャツを着ているのに気づいた。彼の眉間のしわはさらに深くなり、そして布団の下の自分が全裸であることに気づいた。そして、彼女と一緒に寝た断片的な記憶が脳裏に浮かび、再び彼女に視線を向けると、露出した肌にキスマークが点々と残っているのが見えた……

来栖季雄は鈴木和香の手首を掴んだまま、瞬時に力を強めた。「昨夜は……」

鈴木和香はこの言葉を聞いた途端、心臓が飛び上がりそうになった。来るべきものが来たのだ……彼女は思わず説明を始めた。「あなたが病気だと聞いて、様子を見に来て、それから薬を飲ませて……」

鈴木和香は説明の途中で、その後ベッドを共にしたことをどう説明すればいいのか分からなくなった。

来栖季雄は昨夜熱で朦朧としていたものの、何が起きたのかおおよそ覚えていた。昨夜口に入れられた苦いものは薬で、彼女が唇を塞いだのは薬を飲ませるためだったのだ……来栖季雄は唇を軽く動かし、表情の冷たさが少し和らいだ。

鈴木和香は男性が長い間黙っているのを見て、彼が何を考えているのか読み取れず、心の中でますます緊張が高まった。少し躊躇してから、続けて言った。「昨夜は、あなたとそんなことをするつもりは……」

鈴木和香の言葉が終わらないうちに、来栖季雄は突然彼女の手首を激しく振り払った。その力が強すぎて、鈴木和香は後ろに二、三歩よろめいた。彼女がまだ体勢を立て直せないうちに、男性の冷たい声が上から降り注いできた。「何が欲しいんだ？」