第27章 誰が入ることを許したのか？（7）

鈴木和香の心は、一瞬にして最も深く冷たい場所へと沈んでいった。

最初に体で役を交換すると言い出したのは彼女だった。あの時は、自分の気持ちを見透かされることを恐れて焦って言った言葉だったのに、今、彼は本当に彼女を肉体を売り物にする女だと思っているのだ。

鈴木和香は唇を噛みしめ、何も言わなかった。

来栖季雄はしばらく待ったが、鈴木和香が口を開く様子がないのを見て、淡々とした口調で二人の間の沈黙を破った。「どうして黙っているんだ？わざわざ私がここに別荘を持っていることを探り出し、私が病気だと知って、こんな遠くまで薬を届けに来て、一晩中看病までしてくれた。君がこれらのことをしたのは、私から何かを得るためじゃないのか？」

「さっき君は、昨夜、私とそういうことをするつもりはなかったと言ったが……」来栖季雄はそこで急に言葉を切った。自分がまた勝手な想像をしているのではないかと思い、長い間黙り込んでしまった。しかし、唾を一つ飲み込み、鈴木和香の目をじっと見つめ、まるで彼女の目の奥から何かを読み取ろうとするかのように、感情の欠けた冷たい口調でゆっくりと続けた。「もしかして、君がここに来たのは、見返りを求めるためじゃなかったのか……」

鈴木和香は、自分の心の内を来栖季雄にこんなにも簡単に見抜かれてしまうとは思わなかった。彼女は無意識に拳を握りしめ、必死に動揺を抑えながら、落ち着いた声で言った。「先日、環映メディアの今年の主力作品『傾城の恋』の女二号のオーディションを受けましたが、落ちました。」

まさか自分が再び心の内を隠すために、自分を商品として取引することになるとは思わなかった。鈴木和香は自分の手のひらを痛いほど握りしめながらも、表情を変えることなく、冷静に続けた。「この作品は豪華なキャストで、撮影前から知名度が高いんです。もし本当に私に恩返しをしたいのなら、この作品の女二号の役を私にください。」