鈴木和香は来栖季雄の青葉の別荘を出て、そのまま車を走らせて桜花苑に戻った。彼女は元々知名度も低く、仕事の予定もなかったため、その後の四日間、ずっと桜花苑の別荘に籠もったまま外出することはなかった。そしてその四日間、来栖季雄は一度も家に帰ってこなかった。
また深夜が訪れた。午後に長く眠っていたせいか、鈴木和香はベッドの上で寝返りを打ちながら、なかなか眠りにつけなかった。傍らの携帯電話を手に取り、時間を確認すると、もう深夜の12時近くだった。和香は空っぽのベッドの反対側を見やり、今夜も彼は帰ってこないだろうと思った。
彼が帰宅すると落ち着かなくなるのに、帰ってこないと心の奥に微かな寂しさが広がる。
鈴木和香は布団をめくってベッドから降り、適当に上着を羽織ってバルコニーに出た。窓の外の夜景を見つめながら、表情も寂しげになっていった。