第96章 愛してはいけない深い愛(2)

鈴木和香は黙っていた。

この問題について、叔父と叔母も以前尋ねたことがあった。両親は早くに亡くなったが、叔父夫婦は実の親のように彼女を大切にし、少しの苦労も味わわせたくないと思っていたため、芸能界に入って苦労することを望んでいなかった。結局、彼女が懸命に説得し、芸能界は遊び半分だと言って、ようやく同意を得られた。

実際には遊び半分なんかじゃなかった……彼女がこの世界に入ったのは彼のため、今では彼女を玩具としか見ていない彼のため、いつ飽きられるか分からない彼のためだった。

松本雫と彼が毎年ベストカップル賞を受賞するのを見て、彼女も彼とスクリーンカップルになりたいと思った。それが虚構で、大衆の幻想に過ぎないとしても、彼女は望んでいた。現実の恋人になる機会など全くないのだから、赤嶺絹代の頼みを引き受けて夫婦を演じることさえ、彼と一緒になれる機会だと思った。

しかし今、彼が彼女をどれほど嫌い、軽蔑しているのかを痛感していた。

鈴木和香はそこまで考えると、思わず布団に顔を埋めた。十三年間、変わらず彼を愛し続けてきたが、もうどれだけこの愛を持ち続けられるのか分からなくなっていた。

鈴木和香が長い間黙っていたため、部屋の中は静まり返っていた。馬場萌子が和香は答えないだろうと思った時、和香は振り向いて彼女に笑顔を向け、真偽不明な口調で言った。「芸能界はお金が稼ぎやすいからよ」

「ふーん、あなたがお金に困るわけないでしょ?」

「お金が多すぎるって文句を言う人はいないでしょ?」

「そうそう、和香がお金稼いだら、私にも分けてね」

「いいわよ、2000円稼いだら20円あげる」

「資本家は本当に搾取するわね」

「ふふふ」

「和香、どんなに辛いことがあっても、私が側にいるからね」

鈴木和香は急に黙り込んだ。しばらくして、やっと押し殺したような声で言った。「萌子、ありがとう」

-

あの夜、鈴木和香が取引の解消を申し出て来栖季雄が激怒して以来、和香は撮影で避けられない場合を除いて、できる限り季雄を避けるようになった。もちろん、やむを得ず顔を合わせる時も、和香はできるだけ口を開かないよう静かにしていた。