第139章 君も雨の日が好き?(3)

来栖季雄はようやく視線を横のテーブルに移し、そこに確かに夜食の箱が置いてあるのを見て、眉間を少しだけ寄せ、瞳の色が一瞬深くなった。

鈴木和香は来栖季雄が夜食の箱をずっと見つめているのに、食べる様子を見せないのを見て、食べたくないのだと思い、少し迷った後でまた口を開いた。「秘書さんが、午後ずっと会社の書類で忙しかったから、きっと疲れているはずだって。何も食べないで、明日の朝まで持つわけないでしょう?」

来栖季雄はまだ何も言わず、視線を再び鈴木和香に向けた。

鈴木和香は手に抱えている書類をきつく握りしめ、自信なさげにまた話し始めた。「それに、食欲がなくても、少しは食べないと。少しでも食べた方が、何も食べないよりはいいわ……」

鈴木和香はそこまで言って、完全に自信を失ってしまった。