第153章 私の質問に答えて(5)

来栖季雄は鈴木和香の声を聞いて、怒りのあまり理性を失い、彼女に電話をかけてしまったことに気づいた。

思わず「元気?」と聞きそうになったほどだった。

五年前のあの出来事以来、彼には彼女を気遣う資格はなくなった。愛することができないのなら、最初から愛していないように見せかけた方がいいと思った。

この数年間、彼は何度も彼女に近づきたいと思ったが、同時に自分を抑えて彼女に会いに行かないようにした。自制が効かなくなることを恐れたからだ。結婚後、彼が家に帰らなかったのは、長く一緒にいると作り上げた冷たい態度が崩れてしまうことを恐れたからだ。しかし、そんな状態でも、彼女の気分が良くないかもしれないと知ると、やはり抑えが効かなくなってしまう。

来栖季雄は携帯を握りしめ、しばらく沈黙した後、やっと動揺した心を落ち着かせ、できるだけ平静で冷静な声で話し始めた。「SNSのニュースを見たんだが……」