第154章 私の質問に答えて(6)

来栖季雄はそのメッセージを見つめ、さらにイライラが募った。怒りの余韻を残したまま、携帯を乱暴にベッドに投げつけた。しばらくして、やはり前に歩み寄り、携帯を手に取り、鈴木和香に一文字だけ返信した。「いいよ」

すぐに鈴木和香から返信が来た。二文字だけ。「ありがとう」

来栖季雄は携帯を脇に投げ捨て、少し疲れた様子でベッドに横たわり、目を閉じた。

かつて、彼が貧しく、彼女に相応しくなかった時、彼は彼女に告白こそしなかったが、生理で腹痛に苦しむ彼女を保健室に連れて行き、午後一杯付き添うことができた。また、財布をなくした彼女のために遠くから迎えに行き、一晩中付き添うこともできた。しかし今の彼は、富と名声を手に入れ、彼女の望むすべての生活を与えられるのに、彼女を愛し、優しくする資格を失ってしまった。