第158章 私の質問に答えて(10)

電話はすぐに繋がり、鈴木和香は松本雫の清らかで落ち着いた声を聞いた。「君ですか?どうされましたか?」

鈴木和香は電話の向こうで、唇を噛んで微笑み、松本雫に心から感謝の言葉を述べた。「雫姉、あなたが転送したウェイボー見ました。ご協力ありがとうございます」

「実は私に感謝する必要はないんです。あなたは…」松本雫がそこまで話したところで、来栖季雄の警告するような視線に気づき、すぐに鈴木和香に笑顔で言い直した。「君、そんなに気を遣わなくていいんですよ。こんな些細なことですから」

松本雫の言葉は途中で止まってしまったが、鈴木和香にはその意味がはっきりと伝わった。誰かが彼女に頼んで、自分を助けてくれたということだろうか?

鈴木和香は心の中の疑問を押し殺し、携帯に向かって優しく言った。「雫姉、今回は本当にお世話になりました。あなたがいなかったら、どうなっていたか分かりません。時間があったら、お食事でもご馳走させてください」

「いいですよ」松本雫は少しも遠慮することなく、さっぱりと承諾した。

「じゃあ、日時を決めてご連絡します」

松本雫は電話の向こうで「はい」と返事をし、鈴木和香は電話を切る前にもう一度「ありがとうございました」と言った。

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松本雫が電話を切ると、横に座っている来栖季雄を見て、彼が鈴木和香からの電話のために残っていたことを知りながらも、わざとふざけて言った。「来栖大スター、まだ帰らないんですか?」

来栖季雄は松本雫の冗談に全く反応せず、やや冷たい声で尋ねた。「彼女は...どうだった?」

松本雫は表情を一瞬くしゃっとさせた。「あまり良くなかったです。声の感じだと、泣いていたみたいで…」

来栖季雄の眉間にすぐに深いしわが寄り、両側に自然に下ろしていた手が瞬時に拳を握り締め、松本雫を見つめながら一字一句はっきりと繰り返した。「泣いていた?」

松本雫は来栖季雄のまるで大敵に遭遇したかのような強い反応を見て、思わず大笑いしてしまった。来栖季雄の殺気立った視線に気づいて、やっと笑いを抑え、それでも声に笑みを含ませながら言った。「冗談です。そんなに心配しなくても。声を聞いた感じ、状態は悪くなさそうでしたよ。たぶん大丈夫…」

松本雫の言葉が終わらないうちに、来栖季雄は一瞬にして表情を曇らせ、不機嫌そうに「バカ野郎!」と言い放った。