彼女は腹に溜まった鬱憤を晴らす術もないまま、翌朝、思いがけずラジオ局から電話を受け、バラエティ番組のゲストが変更になり、当面は内密にするとのことだった。
あのバラエティ番組に出演するために、あの太って年寄りの局長と一晩を共にしたというのに、結局すべてが水の泡で、ただ体を許しただけという結果に終わってしまった。
それだけでも十分に憂鬱なのに、今や鈴木和香と彼女のアシスタントが、自分の傍らで鈴木和香のスキャンダルについて得意げに話し合っているのだ。二人の得意満面な様子を見ているだけでも心が落ち着かないのに、鈴木和香がさらに明るい笑顔を向けてきた。その笑顔は、まるで「協力してくれてありがとう」と言っているかのようだった。
林夏音は体の中で怒りの炎が一気に燃え上がるのを感じた。鈴木和香を皮肉るような言葉を投げかけようとした矢先、監督が鈴木和香の名前を呼んだ。