第171章 来栖スターが怒った(3)

ああ、違う、初めてじゃない。

四回目だ。

一回目は、彼女が『傾城の恋』の女二号を奪った時。

二回目は、彼女がスキャンダルを暴露して、彼女を殺そうとしたのに、逆に助けることになった時。

三回目は、彼女が待ち望んでいたバラエティ番組のゲスト出演を奪った時。

四回目が、今日だ。

一人の人間に四回も連続して負けるなんて。今日の撮影でNGを出した回数は、きっと芸能界で後々まで笑い話として語り継がれることになるだろう!

林夏音は考えれば考えるほど納得がいかず、最後には歯ぎしりしながら足早に歩き出した。

林夏音は自分がどの方向に向かって歩いているのかも分からなかったが、最後に芝生の広場に辿り着き、そこで何人かが忙しそうに働いているのを見かけた。

林夏音はその人たちを知らなかったが、撮影スタッフだということは分かった。