山の中腹にある世界は、とても静かで、時折鳥のさえずりだけが聞こえてくる。
金色に輝く陽光が別荘に降り注ぎ、黄金の光を纏ったかのように、豪華絢爛に見える。
鈴木和香にとって、ここに来るのは二度目だが、まるで桃源郷のようなこの場所に、心の底から感動せずにはいられなかった。
前回と同じように、別荘の玄関は開いていて、和香が入ると、来栖季雄が昨日乗ってきた車が、中庭のプールの横に停まっているのが見えた。
やはり一人でここに隠れていたのね……和香は車を停め、キーを抜いて、バッグを持って車を降り、別荘の入り口へと向かった。
インターホンを押したが、なかなか応答がない。和香は眉をひそめ、ますます心配になり、前回のように別荘の裏に回ってみると、前回入った掃き出し窓が半開きのままだったので、そこから中に入った。