山の中腹にある世界は、とても静かで、時折鳥のさえずりだけが聞こえてくる。
金色に輝く陽光が別荘に降り注ぎ、黄金の光を纏ったかのように、豪華絢爛に見える。
鈴木和香にとって、ここに来るのは二度目だが、まるで桃源郷のようなこの場所に、心の底から感動せずにはいられなかった。
前回と同じように、別荘の玄関は開いていて、和香が入ると、来栖季雄が昨日乗ってきた車が、中庭のプールの横に停まっているのが見えた。
やはり一人でここに隠れていたのね……和香は車を停め、キーを抜いて、バッグを持って車を降り、別荘の入り口へと向かった。
インターホンを押したが、なかなか応答がない。和香は眉をひそめ、ますます心配になり、前回のように別荘の裏に回ってみると、前回入った掃き出し窓が半開きのままだったので、そこから中に入った。
和香は二階に上がり、廊下を通って季雄の寝室の前まで来た。ドアを開けようと手を上げた瞬間、内側から先にドアが開いた。
-
来栖季雄は朝目覚めた時、腕の中の和香を見て、少しめまいを感じた。
しばらくぼうっとしていたが、ようやく昨夜金色宮を出たことを思い出した。その時は酔っていなかったが、一人で車を運転し、夜の静かな東京都の街を目的もなく走り回っていた。頭の中では、彼女が金色宮で言った言葉が繰り返し響いていた。「私の初恋は、皆さんのように活発で可愛らしいものではありませんでした。私の初恋は片思いで、その男の子のことを何年も密かに好きでいました。彼のために一生懸命勉強して1組に入り、高校3年生の時も彼のために頑張って、A大学に合格したんです。」
そして心臓が誰かに強く握りしめられ、絞められているかのように痛み、体中が痙攣するように痛んだ。結局、一人でバーに行き、長い間憂さ晴らしの酒を飲んでいた。
実は、バーを出た時、意識は非常にはっきりしていて、車のスピードも完璧にコントロールでき、赤信号で止まり、青信号で進むことができた。しかし、どういうわけか、車は桜花苑に戻っていた。
記憶が途切れることはなく、その後に起きたことも全て鮮明に覚えていた。確かにアルコールの影響で、理性を失って心の内を話してしまったが、大きな過ちは犯さなかった。
季雄は長いため息をつき、頭が重く、背中が火照るように痛むのを感じた。昨夜の飲酒で怪我が悪化したことは分かっていた。