松本雫の美しく整った眉が少し寄り、心の中で何かがおかしいと気付き、表情が一瞬厳しくなった。「いつから君が見えなくなったの?」
「私たちと話していた時、トイレに行くと言って、それっきり戻ってこなかったんです…」
松本雫は馬場萌子の言葉を最後まで聞かずに、突然足早に温泉の方へ向かった。
馬場萌子は口を開いたまま言葉を止め、困惑して松本雫のマネージャーを見た。マネージャーも困惑した表情で、松本雫が何をしようとしているのか分からず、二人は慌てて松本雫の後を追った。
松本雫は赤ワイン温泉の池のそばに行き、元々プールサイドに置いてあった飲み物のボトルが全て消えていることに気付いた。他の温泉も見回してみたが、飲み物のボトルは片付けられていなかった。彼女は唇を固く結び、心の中で何かを察したように、温泉の外に向かいながら、後ろについてきたマネージャーに簡潔に指示した。「私の記憶が正しければ、このリゾート施設の社長が以前私に連絡してきて、協力したいと言っていたはず。今すぐ彼に電話して、協力してもいいから、まずこの温泉の監視カメラの映像を見せてもらって。すぐに見たいの」