第238章 彼女だけは触れてはいけない!(8)

「来栖社長、もうやめてください!このままでは人が死んでしまいます!」

来栖季雄は助手の言葉を一切無視し、助手を乱暴に突き飛ばすと、割れたグラスの破片を握りしめたまま、激しく突き刺そうとした。

助手は素早く来栖季雄の腰に抱きつき、全力で後ろに引っ張って二歩ほど下がらせながら、大声で叫んだ。「社長!もし誤って人を殺してしまったら、あなたも終わりですよ!」

来栖季雄の目からは炎が噴き出しそうで、狂ったように助手の腕をふりほどくと、我孫子プロデューサーに向かって再び突進した。

鈴木夏美は、来栖季雄が狂人のように、凶器となったグラスの破片を我孫子プロデューサーの喉元に突き立てようとする様子を目の当たりにし、思わず手で口を覆い、動揺の表情を浮かべた。

助手はその光景を見て焦りを隠せず、思わず寝室で意識を失っている鈴木和香の方を振り返り、咄嗟に叫んだ。「社長!君が意識不明です。早く病院に連れて行かないと大変なことになります!」