助手はすでに床から立ち上がり、ドアの前で自分の手を見つめて呆然としている鈴木夏美を引っ張り、エレベーター前に立っている来栖季雄の方へ走っていった。
助手と鈴木夏美がエレベーター前に着いた時、ちょうどドアが開き、来栖季雄は二人を全く無視して、鈴木和香を抱きかかえたまま中に入った。
助手は魂が抜けたような鈴木夏美を先に押し込み、その後に自分も乗り込んで、階数ボタンを押した。
エレベーターが一階に到着すると、来栖季雄は鈴木和香を抱きかかえたまま真っ先に出て行き、助手は急いで小走りで追いつき、後部座席のドアを開けた。
助手は来栖季雄が鈴木和香を抱いて座るのを待ち、ドアを閉め、それから助手席のドアを開けて鈴木夏美を促し、彼女が座るのを待ってから急いで運転席に乗り込み、車を発進させ、最寄りの市立総合病院へと向かった。