一瞬にして言い表せない恐怖と後悔が、来栖季雄の全身を這い回った。
もし彼女が本当に自分のいる撮影現場で何か危険な目に遭っていたら、一生自分を許せなかっただろう。
来栖季雄の喉は何かに詰まったように痛くなり、両手を伸ばして、鈴木和香が点滴を受けた絆創膏の貼られた手を握った。
彼の脳裏に、我孫子プロデューサーの部屋に突入した時の光景が蘇った。彼女が我孫子プロデューサーに押し倒され、虚ろな目をしていた姿を思い出すと、心の底が刃物で切り裂かれるような痛みが走った。
彼は彼女の手を握る力が思わず強くなり、何かを悔やむように、そっと彼女の細くて柔らかい指に口づけた。
-
病室の外で待機していた助手は、午前2時になってようやく限界を感じ、階下の車で仮眠を取ることにした。深い眠りについた時、突然車の窓をノックする音が聞こえ、助手は夢うつつの中で目を覚まし、ぼんやりと窓を下ろすと、まだ眠っている鈴木和香を抱きかかえた来栖季雄が外に立っているのが見えた。