「なんてこった、来栖スターすごく強気で、わがままだわ!100億よ、100億の投資を、さっさと切り捨てるなんて、お金持ちの世界は本当に分からないわ!」
鈴木和香は馬場萌子のLINEに返信せず、馬場萌子は一人でそれだけ愚痴をこぼした後、返信がないのを見て、それ以上メッセージを送ってこなかった。
鈴木和香はスマートフォンを握りしめたまま、バルコニーに長時間立ち尽くしてから、やっと指を動かして、馬場萌子から送られてきたメッセージを一つ一つ開き、もう一度聞いた。
午後の時点では、来栖季雄が自分のためにこれらのことをしたのかどうか確信が持てなかったが、今は少し確信が持てるようになっていた。
馬場萌子のLINEから、来栖季雄が昨夜彼女を助けた時、我孫子プロデューサーを殴ったことが分かった。あの冷淡で孤高な男性が人を殴るなんて、どんな場面だったのか想像もできなかったが、彼女の心臓の鼓動は不思議と速くなっていた。