アシスタントはしばらく立っていたが、もう何も言わず、思いやりのある様子でドアを閉めて、来栖季雄の部屋を出て行った。
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「和香、来栖スターと何かあったの?」馬場萌子はエレベーターに乗ってから、ついに我慢できずに尋ねた。
鈴木和香は何も言わなかったが、視線は無意識に馬場萌子が手に持っている薬の箱に落ちて、唇を噛んだ。
「この前まで仲良さそうだったのに?彼が何かしたの?」
「和香、一体何があったの?」
馬場萌子は何度も尋ねたが、鈴木和香は最後まで答えなかった。ホテルの部屋に戻ると、すぐにバスルームに入り、シャワーを浴びて出てきてからベッドに潜り込んだ。
鈴木和香がちょうど布団を引っ張ろうとした時、何かが飛んできて、彼女の前に落ちた。
来栖季雄が彼女のために買った胃薬だった。