彼女が最初に彼のベッドに上がった理由が何であれ、彼の心の中では、それが愛ではないことは明らかだった。
おそらく、その夜、酔っ払った彼女は彼を椎名佳樹の代わりとして見ていたのか、あるいは単なる酔った勢いだったのか。とにかく、起きてしまったことは取り返しがつかず、翌朝目が覚めた時、彼は適当な言い訳でごまかしたのだろう。
実際、彼は分かっていた。あの取引は彼女の本意ではなかったはずだ。でも彼は自分を催眠にかけるように、その取引を真に受け、彼女と何度も取引を重ねた。そして自分を慰めることができた。自分が親友の椎名佳樹を裏切ったのではなく、鈴木和香という女が先に誘惑してきたのだと。
彼の心は不純で、本当に最低だった。でも他に方法がなかった。彼にはその弱みを握って、彼女と何度も関係を持つしかなかった。